7月末、愛媛県松山市で行われた日本ブリーフサイコセラピー学会第27回大会に参加しました。ここ数年、時間の都合がつかず参加できなかったワークショップも、久しぶりに受講することができました。どの講座にしようかさんざん迷った末に選んだのは「ミルトン・エリクソン入門」。講師の津川秀夫先生(吉備国際大学)から、「タイトルに『入門』って書いてあったの、ちゃんと見た?(笑)」とつっこまれつつ、興味深く楽しく学ばせていただきました。
エリクソンと言えば催眠療法ですが、ワークショップのタイトルの通り、今回は「ミルトン・エリクソン」について学ぶことが主眼です。色盲、音痴、失読症、ポリオなど、さまざまな障害とともにあったエリクソンの生涯を紐解きながら、ユーティライゼーション、リソース、パターンといったエリクソンの治療における諸特徴が、いかにエリクソン「その人」と切り離せないものであるかを学びました。おそらく、エリクソンに限らず、技法や流派といったものはすべからく、それを学ぶ治療者その人という文脈と、切っても切り離せないものなのでしょう。いくら熱心に催眠療法を学んでも、誰も決してエリクソンと同じにはなれないこと然り。同じ◯◯療法を学んだ同士でも、互いのセラピーのありようはなぜか全然違うものになることもまた然り。
私にとって臨床活動は、何年続けても学習と挑戦と少しの達成感、それとは比べものにならないような、大きな自己否定のくり返しです。何かにつけて「なぜあの人のようにできないのだろう」と落ち込みがちですが、ちょっと見方を変えてみると、人生丸ごと含んだ「私」を活用したセラピーは、私にしかできない、ということでもあるのかもしれません。そんな勇気づけをエリクソンからもらいつつ、また今日からえっちらおっちら臨床の日々を、頑張っていこうと思います。
(安江)